平和経 第10話
真の父母を求めなければならない理由
しかし、今日の世界を見ると、神様が理想とされた世界とは、あまりにもかけ離れた世界になっています。神様の根本的な創造目的とは異なり、天国の代わりに地獄となり、罪悪と苦痛、そして闘争によって満身創痍になっています。宗教的な用語を借りて説明すれば、このように病んで傷だらけとなったこの世界が、正に堕落世界なのです。この堕落した世界を本来の状態へと回復するために、神様は救援摂理を繰り広げて来られたのです。したがって、私はこれまで神様の救援摂理は復帰摂理であり、復帰摂理は再創造摂理であることを、全世界に教えてきました。
神様の復帰摂理の目的は、堕落していない根本の理想家庭を探し立てることであり、その基盤の上に、神様の真の愛と真の父母様の思想を中心として、理想世界を建設することです。救世主の使命とは、正にこの世界に真の愛を実現することです。それが真の父母の使命であるということを、私たちが悟るようになれば、神様の括命を受けて、このような使命を果たすために生涯を捧げるようになるのです。言い換えれば、救世主の使命は、正に神様を信じるすべての人が共同で力を合わせて果たさなければならない使命なのです。
聖書を見ると、神様の最初の息子と娘であるアダムとエバは、神様の真の愛の中で成長し、神様から祝福を受けて結婚し、罪のない子女を繁殖するようになっています。そうして、彼らも、神様のように真の父母になって天国に入るようになっていたのです。そのようになっていれば、この世界は地上天国になっていたのであり、神様の真の愛と真の生命、そして真の血統だけが存在する理想世界が形成されていたのであり、その世界は、唯一、神様だけが主管する理想世界になっていたのです。
しかし、アダムとエバは、成長過程で不倫な愛の関係をもつようになり、その元凶である天使長はサタンとなったのです。アダムとエバは、善の先祖となることができず、悪の先祖になってしまい、そこから死亡の世界が始まってしまいました。悪の血統を相続した人々の横行する世界が、このようにして生じたのです。サタンは淫乱の神となり、神様は淫乱を最も憎むようになりました。
正にこのような淫乱のために、今日、アメリカやヨーロッパ大陸もソドムとゴモラやローマ帝国のような運命を迎えているのです。世界は今、サタンの愛、サタンの生命、サタンの血統から私たちを解放してくれる真の父母を必要としています。この真の父母こそが、正にメシヤなのです。
アダムとエバが責任を完遂できなかったために、神様は真の子女を失い、人類は真の父母を失ってしまう結果となりました。堕落の結果により、真の父母の理想と神様の真の愛を実現する真の人間と真の世界を失ってしまったのです。ですから、メシヤは、そのような途方もない真の父母の位置に立ち、人類の先祖によって植えられた偽りの根を引き抜いてしまい、永生できる真の子女を探し立て、創造理想世界を実現しなければならないのです。
一つの家庭について見ても、兄弟間の関係は、父母を土台としてこそ可能です。したがって、この世界が真の愛と真の家庭の圏内に立つためには、まず真の父母が確定されなければならないのです。正にこの目的を達成するために神様の召命を受けた私は、これまで神様のみ旨に従って、終始一貫して一本道を歩んできたのです。
私は、世界的に繰り広げている統一運動と、各分野にわたって推進している計画、すなわち、宗教界、学界、教育、言論、および文化芸術、科学技術、経済活動など、すべての分野を通して、神様から受けたその一つの目的を達成しようと、それらを推進しているのです。
正にこの目的達成のために、私は迫害を受け、死にも直面したのであり、いつも真の父母の心情で全世界のすべての人種を抱き、私の実の親や兄弟以上に愛してきたのです。
このような道を通して神様は、メシヤが歩んだ道、すなわち神様を心から愛し、神様が本来理想とされた世界である愛と平和と和合の世界の創建のために、自らのすべてを投入される、無条件の真の愛を人類に与える道を歩むよう、全人類に呼びかけていらっしゃるのです。このような愛の道こそが、信仰をもつ良心的なすべての人が従うべき、不変の道なのです。神様は、私たちすべてが、それぞれがいる場所でメシヤになることを望んでいらっしゃいます。私たちはみな、真の父母の心情で神様を愛し、人々を愛さなければならず、万物までも愛さなければなりません。これこそが正に神様が私たち人間に下さった使命なのです。
急がれる真の価値観の確立
今日の世界情勢を探ってみると、外的には冷戦が終息し、東と西、南と北の平和増進を模索しています。分断と対決の時代を超え、これからは兄弟姉妹の関係で結束した一つの世界を形成し、和解を通した統一の時代に突入しています。
二十一世紀を迎えるまでのこの十年間は、神様が人間に特別に恩賜を施される期間であり、本来、神様が創造された根本の世界へと回帰できる、貴重な十年となるのです。したがって、私は既に「世界平和連合」の創設を主唱し、アメリカやソ連など、世界各国の数多くの指導者たちは、それに呼応して名乗り出ています。また私は、「世界平和宗教連合」の創設も提議し、既に八百人以上の世界的な宗教指導者から熱烈な支持を受けているのです。
これまで数多くの人たちが、真の統一と一つの世界を形成し、真の愛を探すために努力し、苦労してきましたが、なぜ真の統一と一つの世界は、いまだに私たちから顔を背けているのでしょうか。人間は誰しも平和を希求しています。しかし私たちはまず、どのようにすれば平和を達成できるのかということから知らなければなりません。問題の鍵は、皆様の妻、息子、娘、親戚、国家、世界など、相手側にあるのではなく、皆様自身にあるのです。言い換えれば、皆様の心と体が、良心を中心として完全な一体を完成した、和合と統一の実体になっているかいないかに、個人の幸福はもちろん、世界の統一までかかっているのです。
良心は、神様が私たち人間に下さった最も高貴な贈り物であり、天下とも取り替えることのできない私たちの主人です。私たちが神様と真の父母の心情を所有するようになれば、私たちの生涯は、真の愛を中心として真の平和を達成する「ために生きる生涯」となるのです。永遠の価値と、不変的価値の基準となる真の愛を中心として生きるようになれば、私たちは心と体の一体のみならず、精神と物質の両面を中心として、世界的に両分された愛と理念の統一までも達成することができるようになるのです。
このような点こそが、良識ある人たちの関心の焦点です。したがって、永遠の世界平和を達成するには、宗教と政治、そして文化の役割が必要不可欠です。そして、すべての分野で献身している老若男女が共に手をつないで立ち上がり、断絶と偏見の壁を壊し、恒久的な世界平和の達成を願われる神様のみ旨を中心として団結しなければなりません。
今、私たちが世界平和のためにどれだけ貢献しているのかを、自問してみるべき時に置かれています。私たちは、相互間において真の愛で交流しなければならず、その道こそが世界平和を達成する近道となることを知らなければなりません。誰彼を問わず、相手を軽蔑し敵対視する人は、神様の摂理はもちろん、世界平和に決して助けにならないのです。
世界は今、数多くの問題点を抱えています。したがって、私たちは真の価値観を探し立てなければならず、そのためには、腐敗と破倫の道をたどっている道徳観を正し、邪悪になっていく人間の心を正さなければならず、
良心的で信仰心の深い人たちを糾合して、神様と真の父母様の真の愛を実践する、永遠の神様の真の愛の働き手として育てなければなりません。世界各地で老若男女を問わず数多くの人々が真の愛に飢えています。すなわち、他のために生きる人を渇望しているということです。
私たちが今、そのような人たちのために新しく真の愛の伝統を立てるなら、すべての宗教が一つとなり、神様と全人類が一体になって神様の創造理想を完成し、新しい願い、すなわちイエス様が願われた理想世界を創建するために邁進するようになることは確実です。したがって、全世界と若者たちに、新しい平和の時代、真の家庭の時代、そして真の人類の起源が始まっていることを、はっきりと示しましょう。
最後に、私と私の家庭を温かく迎えてくださった皆様に、もう一度、心から感謝しながら、神様の祝福が皆様と皆様の家庭、そして皆様の国家ウルグアイの上に満ちあふれることをお祈りいたします。ありがとうございました。