天聖経: 第408話

第十三篇 平和メッセージ

第一章 天一国の理想家庭

第一節 宇宙の根本と真の血統 1-10

1 皆様も、祈祷を通して神秘的な境地に入り、この宇宙の中心は何かと尋ねてみてください。「父子関係」という答えを聞くようになるでしょう。父母と子女の関係以上に、重要で貴いものはないのです。これが、この宇宙を創造された神様と人間の根本的関係だからです。

 

宇宙の中心は父子関係

2 父子の関係がもっている特性とは何でしょうか。真の愛と真の生命と真の血統の関係です。真の父母の真の愛が前提とならなければ、私たちの真の生命が存在することはできません。すなわち、神様のみ前に人間は、絶対的な真の愛の相対として創造されたということです。そこは、正に神様が父となり、人間は息子、娘となる軸が立てられる所なのです。もし、それよりもっと高く貴い所があれば、人間の欲望は、またそれを追求するでしょう。しかし、そのような所はありません。全知全能であられる神様が、最高の所は御自身のために隠しておいて、御自身の子女であり、愛の絶対相対者であるアダムとエバは二番目に良い所に立てて創造した、ということは想像もできません。

 

3 私たちの永遠の真の父母であられる神様は、一〇〇パーセント御自身のすべてを投入して人間を創造され、同位権、同参権、同居権、相続権を賦与されました。神様のすべての属性を下さったのです。神様がいかに絶対者だとしても、独りでは幸福になることができません。「うれしい」という言葉や「幸福だ」という言葉は、独りでは成立しない言葉です。必ず相対的関係を備えた所で成立するのです。

声楽家として一生を生きてきた人が、もし無人島に置き去りにされ、独りで喉が張り裂けるほど歌を歌ったとすれば、幸福を感じるでしょうか。自存される神様も、喜び、幸福であるためには、必ず愛を分かち合う相対が必要なのです。そうだとすれば、絶対者であられる神様に喜びをお返しすべき相対者としての人間は、どのような姿でなければならないのでしょうか。神様が「息子よ、娘よ」と呼ぶことができ、御自身と同格の位置に立て、共に創造の偉業を完成することができ、天地万物をすべて相続させられる子女は、どのような姿でなければならないのでしょうか。

 

4 神様が、創造の理想的出発点をどこに置かれたのか、お分かりでしょうか。「相対のために存在する」という原則に御自身の理想的出発点を置かれたのです。言い換えると、神様が願われた相対のために真の愛を実践することが、神様が創造のみ業を始められた核心だったのです。したがって、神様の子女である人間の責任は、何よりもまず神様に似ることです。孝子、忠臣、聖人、聖子の家庭の道理を果たす真の愛の化身になりなさいということです。神様の深い心情の内的事情を知って、アダムとエバの堕落以来、数千、数万年、苦痛の中で生きてこられた神様の恨を解いてさしあげなければならないのです。

 

5 全能の神様が、苦痛の場から抜け出すことができず、歴史の背後で受難の道を甘んじて耐えてこられたのは、神様が愚かで能力がないからではありません。堕落によって失ってしまったアダムとエバの本然の位置、すなわち完成した「後のアダム」の顕現を待たなければならない、復帰摂理にまつわる言うに言えない事情があったからです。いかに全権をもった神様でも、自ら永遠の基準の上に立てた天理原則を無視することはできなかったのです。

それでは、アダムとエバの堕落以来、歴史を通して神様にとって最も胸痛い恨として残されてきたものが何であるか、御存じでしょうか。それは、天の血統権を失ってしまい、兄弟権と所有権まで失ってしまった事件です。生命とも取り替えることのできない、この血統を失ってしまいました。真の生命と真の愛の実を結ぶことができなかったというのです。

 

血統の重要性

6 生命より貴く、愛よりも重要なものが血統です。生命と愛が合わさって創造されるものが血統です。これらのうち、生命がなくてもできず、愛がなくても血統は創造されません。愛、生命、血統のうち、その実りが血統なのです。神様の血統の中には、真の愛の種が入っていて、真の生命の体が生きています。したがって、この血統と連結されれば、神様が理想とされた理想の人間、すなわち人格を完成することも可能であり、理想家庭も生まれ、さらには、神様の祖国である理想の国家も出現するのです。平和理想世界王国は、このように絶対「性」の関係を通して創建されるのです。

 

7 血統の重要性は、いくら強調してもしすぎることはないことを、皆様も肝に銘じなければなりません。血統がなければ、生命はもちろん、愛も離れてしまいます。血統が残ってこそ、愛した自分の伝統が残され、血統が存続してこそ、父母の息遣いが継続していくのです。言い換えれば、父母に愛の実、生命の実、血統の実、そしてすべての喜びの実を提供する最初で最後の必要十分条件は、真の血統であることをはっきりと知らなければなりません。

ところが、生命とも取り替えることができない、この血統を失ってしまいました。真の生命と真の愛の実を結べなかったのです。地球星に広がっている六十五億の人類が、天とは何の関係もない、サタンの実に転落してしまったのです。神様は、畑に蒔いた種が秋を迎えて豊かに実れば、それを収穫しようと考えていました。それがエデンの園でした。アダムとエバ、二人の息子、娘を育てて真の愛を花咲かせ、真の生命を花咲かせ、真の血統を花咲かせた所で、永遠の愛、永遠の生命、永遠の血統の主人と家庭、そして神様の平和理想世界王国を収穫しようとしたことが、神様の人間創造の理想だったのです。

 

8 父子の関係こそ、あらゆる関係の中で最高、最上の関係です。神様の血統を伝授し、永存させる唯一の道は、正に父母と子女の血統関係しかないという事実を、はっきりと知らなければなりません。しかし、その場に現れたのは、偽りの愛、偽りの生命、偽りの血統でした。神様の愛と生命と血統が、愛の怨讐である姦夫サタンの所有権のもとに落ちてしまったのです。天地が真っ暗な地獄に変わってしまい、神様までも姿を隠される、そのような凄絶な世界になってしまったという事実を、人間は今まで知らずに生きてきました。

 

9 怨讐の血統が生命線であるかのように錯覚し、そこに命を懸けて生きている群像こそが、今日、堕落の末裔となった人類の悲しい姿なのです。それで、この世界を地上地獄と呼ぶのです。このような悲惨な姿を見つめられる神様は、どれほど胸を痛めたことでしょうか。本来、神様は、エデンの園にアダムとエバを創造されたのち、彼らを御自身の祝福のもとで結婚させ、天の所有権までも完全に伝授してあげようとされたのです。宇宙万象の所有権を、アダムとエバに相続してあげようとされたという意味です。

 

10 堕落によって、血統権、長子権、所有権がサタンの手に落ちてしまったのです。愛する子女に相続してあげるために、一生の間、汗を流して集めた財産を、一晩のうちに、強盗にそっくりそのまま奪われてしまった父母の立場になってしまったというのです。このように、サタンに血統権を奪われ、子女を失ってしまい、すべての国と世界の所有権まで渡してしまった神様の、悲しく無念な心情を知る人がいませんでした。したがって、血統権と長子権、そして所有権を再び取り戻す道は、サタンを自然屈伏させる道しかありません。サタンを自然屈伏させる秘法とは何でしょうか。怨讐を自分の子女よりもっと愛する真の愛の力によってのみ、可能になるのです。

 

Luke Higuchi