天聖経: 第165話

日本語のオーディオはしばらくの間、お休みさせて頂きます。皆さんご迷惑をお掛け致しますが、各自訓読なさるか、もしくは、英語版を聴きながらの訓読の程、よろしくお願い致します。ーゴデイブルチームー

第六篇 真の万物

第三章 万物の嘆きと真の万物主管

 第一節 万物と人間の関係 10-17

第二節 万物の嘆きと万物復帰 1-5

10 宇宙の存在秩序は、ために生きることを根本としています。真の理想、真の愛、真の平和の世界は、神様の創造理想であると同時に人間の願いです。ですから、理想の起源、幸福と愛の起源は、相対のために生きるところにあるのです。宇宙を見れば、いかなる存在物も、自分だけのために存在するものは一つもありません。植物界は動物界のために、鉱物界と植物界は動物界のために、またこのすべてを合わせた万物は、人間のために存在しています。それでは、人間は、誰のために存在しているのでしょうか。人間は、神様のために存在しているのです。その神様は、万物のために存在し、それらが存在し、成長し、発展するようになさるのです。

 

11 人間は、すべての存在世界の実であり、縮小体であると同時にモデルと言えるので、鉱物と植物、動物のすべての要素をもっている最も高次元の存在です。しかし、人間も、どこまでも結果的存在なので、ある第一原因的存在があり、それに似て生まれたという結論が成立するのです。すなわち、人間を対象とする絶対主体的存在が必ず存在し、私たち人間が人格的存在であれば、その主体も明らかに人格的存在であるに違いありません。

その第一原因的絶対者を哲学では存在者と言い、宗教では神様と呼ぶのです。

 

12 万有は二重目的、すなわち個体のための目的と、全体の中で和合するより高い次元のための全体目的をもっています。したがって、宇宙は二重目的の連体になっている一つの大きな有機体と同じであり、個体内で主体と対象が完全に一つになって個体目的を完成した存在は、それ自体だけで孤立、単独、固定された状態でのみ存在することはありません。個体は他の存在と関連を結ぶために、主体的立場、もしくは対象的立場を取り、それと一つになることによって、より高次元の方向性と目的性を帯びた存在として発展します。

このように、宇宙は、主体と対象の共通利益で連結されている共同目的体なので、その中に宇宙全体の共同目的のためのある力、宇宙力をもっているのです。主体と対象の永遠の調和合一のための最も濃い、完全な相関関係の内容とは何でしょうか。愛を中心とした授受の関係です。愛の動機は人間ではありません。愛の究極的根源は、絶対不変の原因的主体です。宗教では、この第一原因者を神様と言うのです。

 

13 神様の創造過程を探ってみれば、神様は万物を先に創造された土台の上に、最終的に人間を造られました。人間は、最後に造られた傑作です。神様を中心としてすべてのものが始まったのです。人間の創造を終えることによって、神様と人間、そして万物が平衡を保った立場で統一されることを願われたのです。人間は、神様を中心とする霊界と肉界を接触させる媒介体の使命をもっているのです。

 

14 万物は、神様の息子、娘を造ることのできる土台です。関係し、連結できる土台です。動物もそうであり、鉱物もそうです。鉱物世界にもプラスとマイナスがあります。植物世界にも雌しべと雄しべがあり、動物世界にも雌と雄がいます。すべてに橋を架け、すべてのものが結集して創造された最高傑作が、人間の内的な形状と外的な形状です。すべての形状を賦与し、象徴的に、形象的に、実体的にすべてを表して橋渡しするようにし、すべて連結されて関係を結ぶようにしたのです。

 

15 世の中は、様々な組織体と関係の調和の中で運行されています。複雑で多様なこの世の中において、真の主人にならなければならないという思想は、人間と人間の関係はもちろん、人間と万物の関係にも適用される思想です。

問題は、どのような人間に対して「真の主人」と呼べるかということです。より他のために配慮して献身、奉仕する「ために生きる人生」、すなわち真の愛の人生を実践躬行する人が真の主人になるのです。

真の愛をもって万物を愛し、保護、育成する人が、万物に対しても真の主人になるのです。

 

16 愛の中で組み合わさったものは一つです。一つの連体現象です。「私」の髪の毛と「私」は似ています。髪の毛を見れば、これは何でもありません。関係がないように見えますが、関係があるのです。

同じように、このすべての草木は産毛と同じです。愛は不思議な作用をするのですが、このすべての万物も、自分なりの愛の表示的情緒を感じているのです。

ですから、花も音楽を聞かせてあげ、情緒的な環境を造ってあげれば、満開に咲くのです。つぼみが咲きかけて、しおれることはありません。円満に咲くというのです。鶏を育てるときも、音楽を聞かせればよく育つのです。相対的な周辺環境と歩調を含わせていき、和合する環境で育つときは勢いが衰えることがないのですが、四方に和合できずに育つときは潰れてしまうのです。

 

17 神様が環境を創造したのはなぜでしょうか。そこにすべての万物と植物が暮らすことによって、人間がそれらを吸収して栄要素を満たせるようにするからです。海の魚、山の草木、このすべてが人間に栄養素を補給するのです。

次に、病気になったときに使う薬材を作れるのが万物です。一つも使えないものはありません。一番ぞんざいに扱われているものが、一番良い薬になるのです。毒蛇の毒が、薬の中で最も良い薬だというのです。

第二節 万物の嘆きと万物復帰

 

1 万物は、サタン世界において、サタンの子女の名をもつ存在によってサタンの主管を受けています。またサタン世界の国家に主管を受けています。これが神様の嘆息される理由であり、万物が嘆息する理由です。ですから、これを蕩減、解怨し、神側に復帰しなければなりません。そのためには、神様を中心とした神様の息子、娘が万物を主管しなければなりません。神様の前に主管を受けることを願う万物を、アダムだけでなくエバまでも主管しなければなりません。また人間の先祖、アダムとエバの子孫も、やはり一つになって万物を主管しなければなりません。

 

嘆息する万物

2 人間が堕落することによって、万物世界がサタンの主管圏に堕ちました。それで万物の嘆息圏が広がったのです。人間世界の嘆息圏と万物世界の嘆息圏、二つの嘆息圏が広がりました。創造された被造世界においては、人間を中心としてすべての被造世界の環境的な条件が成立するので、人間が堕落することによって万物が嘆息圏内にとどまるようになり、また堕落した子孫を中心として人間が嘆息圏内にとどまるようになったのです。

ですから、万物が先に象徴献祭によって神の前に帰って解放されなければなりません。万物をまず造り、その次に人間を造ったので、再創造の過程においてもそのようにしなければならないのです。万物の嘆息圏を解放しなければなりません。万物圏が解放されたその基盤の上に、人を造ったのと同じ立場に戻らなければならないのです。

 

3 万物の中には、鉱物世界、植物世界、動物世界があります。鉱物世界から嘆息しているのです。すべてサタンの血統圏に落ちることで、神様を主人と考えることもできず、関係を結ぶことができないというのです。すべて塞がってしまいました。ですから、万物の嘆息、その次に人間の嘆息があるのです。霊界に行っては天使世界の嘆息、神様の嘆息が起こっていくのです。

 

4 人間が堕落することによって、神様の理想を中心として神様が喜ぶことのできる日をもつことができず、人類始祖が願った理想の日をもつことができず、万物が堕落せずに本来の神様の物として愛を受けられる圏内に入れませんでした。ですから、これを再び取り戻して合わせなければ、この世界は再び生きる道がなく、神様の愛の世界を訪ねていく道がないという結論が成立します。

ローマ人への手紙の第八章を見れば、人間が堕落することにより神様の嘆息が生じ、その次に人間の嘆息が生じ、万物の嘆息が生じたとあります。その嘆息はなぜ生じたのでしょうか。それは、神様が愛することのできる息子、娘を失い、人間は愛を受けることのできる父母を失い、また万物は愛を受けることのできる主人を失ったからです。

 

5 万物が嘆息するというのは事実です。自分たちが苦痛なので嘆息するのではなく、自分たちをお造りになった神様が嘆息されるので、嘆息するというのです。人間が手にするあらゆる万物の中で、どれ一つ、恨を抱かなかったものがないのです。ですから、人間は悲しむことができなければならないのですが、そのような人がどこにいるでしょうか。この嘆息圏を誰が解いてくれるのでしょうか。神様お一人ではできません。万物もできません。サタンはなおさらできません。ただ人間だけができるのです。ですから、少なくとも、悲しみの同志にならなければなりません。

 

Luke Higuchi