227.韓鶴子総裁御言選集2 理想家庭と平和世界のモデル
第2巻 第27回
第2部 理想家庭と平和世界モデル
12. アメリカに再び天の父母様を迎えよう
*このみ言は、2015年12月5日にアメリカ、シカゴのクラウン・プラザ・ホテルで開催された真の家庭価値運動20周年記念大会で宣布されたもので、文善進世界会長が代読した。
尊敬する内外貴賓の皆様!真なる家庭の価値を確立するために刻苦の努力を尽くしておられる指導者の皆様!最近、天の父母様の創造理想実現の根となる家庭の価値が急速に崩れていきつつあります。文鮮明総裁と私は、真なる家庭の価値を確立して、天の父母様の願いである「ワン・ファミリー・アンダー・ゴッド(One Family Under God:神様のもとの一家族)」の理想世界を実現するために、去る1971年にアメリカにおける摂理を始めて以来、「真の家庭の理想と価値」をひたすら主唱してきました。
特に文総裁と私は、天が世界的な摂理をするためにあらかじめ準備し、祝福なさったこのアメリカの地で、急速に崩れていきつつある家庭の価値を回復しようと、去る1996年に全地域5000人以上の宗教指導者をワシントンD.C.に招請して、真の家庭の重要性を教育し、その教育を受けた宗教指導者は、真なるアメリカの復興のために、天の父母様を中心とした真の家庭の価値を回復する運動に参加することを決意しました。
その偉大で神聖な運動の中心に、正にきょうこの場に参加している皆様がおられたのであり、皆様の精誠と努力によって、きょうこの運動が意義深い20周年を迎えることになりました。これまでの皆様の労苦に、今一度感謝の言葉を申し上げ、きょう受賞された方々にもお祝いの言葉を申し上げます。
家庭は人倫でなく天倫
尊敬する指導者の皆様!私たちは家庭を通して生まれ、家庭を通して成長します。家庭は、生まれたときから私たちの人生の根源であると同時に根本であり、出発です。これは、宗教と文化、人種と国家を越えた普遍的な価値であると同時に真理であり、太初に人間始祖アダムとエバを創造し、彼らに生育し、繁殖し、万物を主管させることを願われた天の父母様の創造理想でした。しかし、真の愛を中心とした理想家庭の完成を通して喜びを感じようとされた天の父母様の創造理想は、人間始祖の堕落によって悲惨に崩れ落ち、家庭の真なる価値は人類歴史の裏道へと跡形もなく消え失せてしまいました。
一例として文明史的な観点から見ると、今日の西欧文明を誕生させた根本とも言えるヘブライズムとヘレニズムの二大思潮は共に、家庭よりは個人を強調するだけで、天の父母様の創造理想である真の家庭の重要性はもちろん、理想家庭に対する明確なビジョンを提示することができませんでした。
特にこのような流れが人間中心主義を主唱した近代思想と結合して拡張されながら、外部との交渉さえない絶対個人の存在論を誕生させたのであり、国家を含めたすべての関係の基本単位を家庭ではなく個人に規定することによって、親子の関係も国家の統治者と被統治者との関係のような一種の契約関係として規定するという愚を犯してしまいました。すなわち親と子を個体相互間の利益に基づいた契約関係として規定することによって、天倫ではなく、人倫の関係に転落させたのです。
今日、世界各地で、尊属殺人などのように以前は想像もできなかった残酷な事件や事故が発生している理由や、領土紛争、宗教紛争、人種間の葛藤、全世界で起きているテロや今日重要視されている環境問題の根本的な原因も、真なる家庭の価値を喪失したところに起因しています。
天の父母様を中心とした一家族(One Family Under God)を理想的モデルとして誕生したアメリカにおいて今日起きているこのような現象は、より一層深刻な問題として台頭し、アメリカの存立そのものを脅かしています。50パーセントに達する離婚率は、家庭の神聖さを余すところなく崩壊させており、青少年の脱線問題、フリーセックスなどの問題は、かつて類例がないほど深刻であり、国家の存立を揺さぶっています。
このような現実を憂慮し、心配する天の声を聞いた文総裁と私は、1971年に祖国と家族を後にしたままアメリカに来て、一生をアメリカの道徳的回復と復興のために全地域を巡回しながら、「火事が起こった家に消防士として来た。病を患っているアメリカを治療するために医者として来た」と叫びました。
アメリカの願いと希望は天の父母様
愛する指導者の皆様!皆様が生まれ、両足で踏んで暮らしているこの地はどのような国でしょうか。皆様の先祖たちはどのような夢を抱いてこの地に足を踏み出し、どのような理想を実現しようとこの地に定着したのでしょうか。深い暗闇、一寸先も見えない茫々たる大海の中であらゆる波風を乗り越え、彼らを耐えぬかせた一縷の希望の光は正に天の父母様でした。
ピルグリム・ファーザーズが新大陸に到着した後、寒さと飢えで半分以上が死んでいく時も、未来の子孫のために、翌年にまく種を残して飢え死にしていった彼らのただ一つの希望と願いは正に天の父母様でした。ゴリアテに対するダビデのようにイギリスとの命を懸けた独立戦争をする時も、彼らの願いは天の父母様でした。天の父母様は、彼らのすべてであり、天の父母様に仕えるための彼らの勇気と決断と意志は偉大さそのものであり、神聖さそのものでした。
独立戦争当時、世界的な強大国だったイギリスは、国王と国民が一つとなって戦いましたが、アメリカは天の父母様と天の父母様を愛する息子と娘が一つとなって戦いました。天の父母様のみ旨を掲げたその偉大な聖戦において、天の父母様は御自身の息子、娘たちの手を挙げてくださったのであり、そのようにして信仰の自由を保障するアメリカが誕生しました。「至誠感天(誠を尽くせば天も感動する)」という言葉は、正にアメリカの誕生について言う言葉でした。言語と民族と文化は違いますが、天の父母様を中心とした一つの国家、天の父母様を中心とした一家族の完璧な理想をアメリカは示したのです。
しかし、アメリカのこのような生来の神聖さが崩れ始めました。物質文明の利己と科学に基づいた無神論的な思想の挑戦に直面しながら、世俗化され、崩壊し始めたのです。文総裁と私は、アメリカから離れておられた天の父母様を目撃しました。アメリカのどこにでも天の父母様がいらっしゃるべきなのに、かえって至る所から天の父母様が離れ始められたのです。人々の心、家庭、学校、教会から天の父母様が離れつつありました。振り返ってみると、ニューヨークのマンハッタン5番街を散策しながら、アメリカを離れられる天の父母様に取りすがって限りなく涙を流したことが昨日のことのようです。
イエス様の願いは真の父母
指導者の皆様!アメリカの建国理想は何だったでしょうか。アメリカを誕生させたキリスト教の理想は何だったでしょうか。2000年前、独り子イエス様がこの地に来られた使命と理想は何だったでしょうか。正に天の父母様を中心とした一家族を築くことでした。天があらかじめ準備なさった独り子と独り娘が聖婚して、家庭、氏族、民族、国家、世界を築きあげ、本然の創造理想を完成することでした。宗教と文化、人種と国家の区分のない一つの世界、天の父母様が思いのままに愛することのできる真の父母と子女たちが一つとなって暮らす世界でした。
しかしイエス様は、天があらかじめ準備なさった独り娘に出会って「小羊の婚宴」をすることができず、真の父母になることができませんでした。イエス様は、真の父母の理想と平和の王の理想を残し、十字架の刑場で寂しく消え去りながら、「再び来る」という約束を残さなければなりませんでした。「ちょうど、めんどりが翼の下にそのひなを集めるように、わたしはおまえの子らを幾たび集めようとしたことであろう。それだのに、おまえたちは応じようとしなかった」(マタィ23:37)というイエス様のその切実な絶叫が今も私の耳元に鳴り響いています。
愛する指導者の皆様!文総裁と私は、このような天の秘密と、天とイエス様のやるせない事情を知ったがゆえに、その恨を解いてさしあげようと、去る2003年にイエス様を平和の王に推戴し、悲しみの象徴だった十字架を教会のてっぺんから下ろす運動を全世界的に展開したのです。しかし、これだけで天の父母様とイエス様の恨が解怨成就されるわけではありません。天の父母様の創造理想を完成するためには、真の家庭の理想を完成しなければなりません。このように見ると、イエス様以降2000年にわたるキリスト教の歴史は、独り娘を探し求めてきた歴史であると言うことができます。
真の家庭の理想完成のための真の父母としての人生
皆様!文総裁と私は1960年に、天が準備された独り子と独り娘として聖婚しました。聖婚後、私たちの人生の目標はただ一つでした。正に天宙の真の父母であられる天の父母様を解放させ、失った父母の立場を再び取り戻してさしあげ、死亡圏で苦しむ青盲(目は開いているが、実際は見えない人)のような無知蒙昧の人類を救い、天の父母様の懐に取り戻してさしあげることでした。文総裁と私は、このような理想のために骨がきしみ、身が震える万難に打ち勝ち、親を失った孤児の境遇に転落してしまった人類を導いて、世界救援の道を歩んできました。初不得三(精進すれば必ず成功するという意味)、七転び八起き、死生決断、全力投球という単語が、み旨を目指した私たちの生き方を表す典型的な表現になりました。
天の父母様の独り子として来られ、6000年の間準備してこられた独り娘と出会い、真の父母の心情で全人類を抱こうとしたその人生は、あたかも荒れ狂う暴風雨の中で海を航海するような、つらい路程でした。最後、聖和される前に、人類に神氏族メシヤの使命完遂を願われた文総裁の切実な遺言もまた、正にこのような真なる理想の完成にありました。
愛する指導者の皆様!私は文鮮明総裁天宙聖和3周年記念式で、全世界の統一家と天の父母様にこのように約束しました。きょうお集まりになった皆様は、文総裁にどのような話をしたいですか。私はこのように話したいです。
「もうこれ以降は心配なさらないでください。私たちが必ず責任を完遂します。本郷苑で、これまで狐独であられた天の父母様を慰労され、頌栄の対象として自由になられることを切に願います。」
皆様は私たち夫婦の生き方を見てきました。皆様は、私たち夫婦が天の父母様の願いをかなえてさしあげるために、どのような人生を送ってきたかを見てきましたし、天が祝福したこのアメリカの地の危機を克服するためにこちらに来て、数多くの迫害の中でこのアメリカを生かすために私たち夫婦がどのような人生を送ってきたのかを見てきました。皆様に、真実を見つめることのできる目と真実を聞くことのできる耳があるならば、私たち夫婦の人生が誰のための人生であり、何のための人生であったか、あまりにもよく分かることでしょう。
指導者の皆様!私たちの天の父母様のために立ち上がりましょう。失った放蕩息子を捜す親の心情で6000年間、失った子女を捜してこられた天の父母様のために立ち上がりましょう。親を失った幼子のように、ただただ天の父母様を探し求め、数万里の大西洋を越え、このアメリカの地に定着したピルグリム・ファーザーズと世界各地から信仰の自由を求めて、激しい迫害と困難の中でこの地を訪ね、このアメリカを信仰の国として根付かせた数多くの人々の懇切なる精誠、彼らの懇切なる願い、彼らの懇切なる念願を再認識しましょう。
そうして、天の父母様の摂理のために祝福したアメリカ、偉大な摂理の地であるこのアメリカに再び天の父母様をお迎えしましょう。天の父母様が思いのままに往来して、御自身の子女たちと共に踊って歌える真なる家庭の理想が息づくアメリカとなるようにしましょう。天と天一国ははっきりと皆様のことを記憶することでしょう。皆様の家庭に天の父母様の愛と祝福が共にあられることをお祈りします。
13. 平和理想世界創建のための文化創出の礎石
*このみ言は、1994年7月26日、アメリカ、ワシントンD.C.のオムニ・ショーハ厶・ホテルで開催された「世界平和青年連合」創設総会で宣布されたものである。
敬愛する来賓の皆様、164ヵ国の青年代表、学生、紳士淑女の皆様。「世界平和青年連合」の創立会議に参加された皆様に、私の心からの感謝をささげたいと思います。この美しい首都ワシントンで皆様すべてにお会いし、私たちの前に置かれている重要な諸問題を討議することができることをうれしく思います。非常に忙しいスケジュールにもかかわらず、私たちはここに集まりました。それは、時代の緊急性を感じているからであり、また世界の諸問題を私たち自身のものとして考えているからです。この私たちの勇敢な態度を通じて、次の世紀が平和、自由、そして愛の時代になるようにお祈りいたします。
神様に対する無視は家庭に対する無視
今日、私たちは歴史の転換点に立っています。私たちは重要な選択に直面しています。私たちは、平和と愛の先駆けとなることもできますが、また、より多くの戦争と紛争の犠牲者になることもできます。今の私たちの行動は、真の世界平和の出現を共に目撃することができるかどうかを決定するでしょう。
冷戦の間、左翼と右翼との間のイデオロギー上の対立がありました。しかし、今、冷戦時代の終結とともに、私たちはより深刻な諸問題に直面しています。それは、社会の道徳心と、家庭の愛の神聖さを破壊する恐れがあるものです。性の道徳の明らかな崩壊と麻薬の広範な使用は既に、青年を犠牲者としています。例えば、最近の研究によると、米国では、高校生の10人のうち6人が麻薬を使用したことを認め、14歳の少女の40パーセントが19歳の誕生日を迎えるまでに妊娠しています。そして全新生児の30パーセントは片親の家で生まれています。さらに、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)は都市部の40人のうち1人が感染しており、青年の間での自殺率は過去30年間で300パーセントも上昇しています。
青年を破壊しつつある諸問題によって病んでいる国は、米国だけではありません。全世界の国々は、この地球上の問題を共有しています。私たちの諸問題が望むだけで消えてなくなれば、何と素晴らしいことでしょうか。しかし、私たちの前に立ちはだかっている問題は、善意だけではなく、はるかに多くのことを必要としています。世界は、問題の根本を理解し、神様の観点から総合的な理解を提供する、新しい世代の指導者を必要としています。
社会の諸問題は、霊的な存在を無視することから生じていることを認識しなければなりません。人生の中で神様を無視するときには、私たちの社会を利己主義と貪欲から守り、治める諸価値観を喪失します。物事の優先順位を適切に定めていなければ、理想だけが華やかな抜け殻に過ぎません。世界は大げさな約束と、実質のほとんどない、中味のない貝になります。ですから、神様を無視することや、家庭を無視することは、国家と世界を無視することにつながります。このように、「世界平和青年連合」の目標は、社会の病を治療し、真の世界平和の目標に到達するための努力をすることで、神様と神様を中心とした家庭を再び文明の礎石にすることです。
もともと、神様は、アダムとエバが父母になることで、創造理想の成就を見ることを望んでいました。アダムとエバは愛する子女として成長し、自分たちの子供を愛する親となり、神様を中心とした愛する家庭のモデルとなったでしょう。しかし、聖書によると、神様の家庭の理想は、アダムとエバの堕落によって失われました。
悲劇的なことに、この最初の家庭の喪失に伴って、理想の国家と世界の実現の潜在能力もまた失われました。それでは、私たちは家庭の理想を、どのように再び呼び戻すことができるでしょうか。私の夫と私は、女性が主導的な役割を果たさなければならないと信じています。私たちは、全世界の女性を鼓舞して、家庭、コミュニティー、国家に責任を持つようにと、1992年に、「世界平和女性連合」を創設しました。「世界平和連合」と並行して、女性連合は、愛する夫妻、父親、母親、そしてコミュニティーの指導者としての模範となって、政治、宗教、芸術、科学の分野で男女を教育するために活動しています。
私の夫と私は、「世界平和連合」と「世界平和女性連合」を補完するものを創設する時が来た、と感じています。「世界平和青年連合」は、神様を中心とした家庭の重要性を若い男女に教育することによって、これら二つの組織とともに、グローバルな家庭の単位として活動するでしょう。
親愛なる皆様。私たちは、世界の未来に責任があります。世界は、人類のより善化のために、歴史の方向を再び示すことができる、献身的な青年男女を強く必要としています。人類の歴史は、善と悪との闘争の証でした。カインとアベルとの戦いから始まって、共産主義世界と自由民主主義世界との間のイデオロギー的な対立にまで発展していきました。しかしながら、共産主義の敗北、それはアベルがカインに勝利し、善が悪に勝利したことを代表するものですが、その敗北に伴って、私たちは神様と共に、世界を正しいものにする機会を得ています。
紳士淑女の皆様。世界平和はただ単に、精神的な構築概念ではありません。それは人の生き方であり、個人の段階から始まって、愛する家族へと成長し、グローバルな家庭へと到達するものです。神様を中心とした強い、真の家庭の樹立によって、私たちは実質的な濫用、暴力、性的な非道徳さなどの束縛などから青年を再び解き放つことができます。希望と愛とで武装し、私は今日、ここに集まった「世界平和青年連合」の代表団が、次の世紀への道を照らす輝ける灯台になることができるようにお祈りいたします。神様の祝福が皆様と、皆様の家庭にありますように。どうもありがとうございました。