304.韓鶴子総裁御言選集3 天一国と私たちの使命
第3巻 第4回
第1部 平和世界に向かう道
4. 摂理観から見た韓国、日本、アメリカの位相
*このみ言は、2002年6月14日、韓国ソウルのシェラトン・ウォーカーヒル・ホテルで開催された21世紀韓国・日本・アメリカ指導者の連合活動のための韓国女性指導者招請講演会で宣布されたものである。
尊敬する女性指導者、そして紳士淑女の皆様。公私共に御多忙でいらっしゃるにもかかわらず、きょうこのように満場の盛況を呈してくださったことに対して、深く感謝いたします。韓国はもちろん、全世界が今、ワールドカップの熱気で熱くなっています。勝利を叫ぶサッカーファンたちの熱狂する声を聞いていると、あたかも全世界の人々が一つの兄弟姉妹になったような感じがします。
キリスト教を中心とした摂理は真の父母を迎えるための準備
しかし、周囲を見回してください。どれだけ多くの問題が直接的に、あるいは間接的に私たちの生活を脅かしているでしょうか。今や私たちは良かれ悪しかれ、21世紀に入る敷居を越えました。歴史学者たちは、この21世紀は太平洋文明圏時代だと言っています。ところで、この太平洋時代は、韓国、日本、アメリカの3国によって主導されるでしょう。それだけでなく、世界は、この3国のモデルに従っていこうとするでしょう。しかし、指導的な立場というものは、自動的に成り立つものではありません。
それは、関連国家の相互間における強力な連関性を土台として成り立つものであり、特にその指導者レベルにおいての相互連関を絶対に必要とするものです。したがって、私たちは、この3国の指導者たちを糾合して教育し、アジアの平和はもちろんのこと、世界の平和を定着させることに総力を傾けなければならないと思います。
尊敬する指導者の皆様。私は、きょうこの招請講演会に参加するために、すべてを差し置いて訪ねてこられた指導者の皆様に儀礼的な挨拶をしようと、この壇上に立ったのではありません。神様と一心、一体、一念の基準で生きてきた私たち夫婦の生きた経験によれば、神様は、歴史と現実の中で生きて役事される方であることは疑う余地がありません。したがって、摂理的観点から見た韓国、日本、アメリカの位相を皆様に御説明しようと思います。
神様の創造理想は、アダムとエバが神様の真の愛によって真の人として完成し、真の父母となり、真の家庭を成し遂げることです。その真の父母と真の家庭を始原として、人類は、真の社会、真の国家、真の世界、さらには天宙へと繁栄しながら、地上・天上天国を成し遂げるようになっていました。ところが、不幸にもアダムとエバは、未完成段階において、天使長の偽りの愛によって堕落してしまいました。また、真の父母ではなく偽りの父母となったアダムとエバが築いた最初の家庭において、兄カインが弟アベルを殺害することによって、罪悪が結実してしまったのです。
本然の創造目的を回復するために、神様は、第ニアダムである救世主をこの地に送って摂理を進められました。その摂理のための最初の基盤がユダヤ教とイスラエルの国でした。その基盤の上に、イエス様が救世主として来られたのです。
イエス様は、このように真の父母と真の家庭の理想を、選民イスラエルの国において成就し、それを全世界に伝播するために来られたのです。しかし、ユダヤ教とイスラエルの国は、イエス様がメシヤであることを理解することができず、イエス様を不信したのです。その不信はとうとう極に達し、イエス様は、再臨を約束されながら十字架の道を行かれました。復活されたイエス様は、霊的に第ニイスラエルであるキリスト教の基盤を立て、これを世界的に築いていかれました。
そのような摂理的な背景があったので、世界的な次元でキリスト教を中心とした摂理が、第三アダムとして来られる再臨主、すなわち真の父母を迎えるために進められたのです。アメリカは、すべてのキリスト教を代表した国家、すなわち第ニイスラエルの長子国家です。アメリカは、建国の始祖たちの信仰も、建国の精神も、すべてキリスト教に由来します。神様が準備された地において、アメリカが短い歴史の中で世界を指導する強盛な国になることができたのは、再臨主として来られる第三アダムのみ旨に従うという神様の摂理によるものなのです。
聖書は両面から預言されている箇所が多い
第二次世界大戦のとき、アメリカ、イギリス、フランスを中心とした連合国が、日本、ドイツ、イタリアを中心とした枢軸国に勝ち、キリスト教の基盤を極大化したことや、韓半島に熱心にキリスト教を伝播し、その信仰が最も熱烈な国として実を結ばせたのもアメリカでした。神様の摂理上、第三イスラエルである韓国の防衛のためにも、アメリカが先頭に立ち、国連の旗のもとで16ヵ国の国が参戦するなど、犠牲的な支援を惜しまなかったことは、皆様もよく御存じであると思います。このように、韓国とアメリカの両国が、単純な友邦国家の次元を越え、特殊な関係を維持するようになったのは、すべて神様の摂理の中で成された結果なのです。
キリスト教が、第二次世界大戦直後に、文鮮明総裁を通して神様の教えを受けていたならば、7年以内に神様が望まれたみ旨がこの地上に成し遂げられていたでしょう。アダム国家である韓国の統一も成し遂げられていたはずであり、共産圏の世界的な膨張もなかったでしょう。ところが、不幸にも、キリスト教が先頭に立って文総裁に対して反対し、迫害したのです。摂理の中心存在を拒絶したキリスト教は、衰退の道へと落ちていきました。第二次世界大戦直後と比較するとき、今日の教会は、信仰も、熱意も、純粋性も、生命力も、すべて失いつつあります。
世界のキリスト教が責任を果たせなくなることによって、エバ国家(母の国)になるべきイギリスの代わりに日本が選ばれました。実際、神様の中心摂理であるキリスト教圏とは関係の遠い日本は、天の特別な恩恵で選ばれたのです。このような点から、日本は神様の摂理における使命を果たしてくださることを願います。
それでは、神様が送られた摂理の中心である救世主は、なぜいつも不信されるのでしょうか。堕落によって築かれた悪主権の世界なので、善の実体を歓迎しないのです。これを憂慮された神様は、イスラエル選民とユダヤ教を立ててイエス様を迎えるようにされたのであり、世界的なキリスト教の基盤を築いて再臨主を迎えるようにされました。しかし、選んで準備した第ーイスラエルと第ニイスラエルの、摂理に対する無知と自己中心的な思考のために救世主は苦難を受けられたのです。メシヤが雲に乗ってやって来るものと思っているユダヤ教徒の前に、人として現れたのですから、信じられなかったわけです。
旧約聖書を間違って解釈することによって、メシヤの命を奪ってしまったという事実を知らなければなりません。また聖書の預言は、両面で預言されていることを知らなければなりません。なぜかというと堕落した人間は、気まぐれにああしたりこうしたりするからです。神様と一つになっていた人が、背を向けてサタンと組んで神様を滅ぼし、サタンと組んでいた人が、神様のところに戻ってきてサタンを滅ぼすということがあるのです。
旧約聖書を見れば、イザヤ書第9章、第11章、第60章の三つの章を見ると、救世主が栄光の主として堂々と来ることが記述されていますが、第53章では苦難を受けることが預言されています。信じて迎えることができずに、イザヤ書第53章の預言が成就され、栄光の主の預言は延長して再臨のときに成就されるようになることを、皆様は知らなければなりません。
イスラエル民族の観点と神様のみ旨は異なっていた
新約聖書も、旧約聖書と同じように、メシヤが来ることに対する預言は、蕩減復帰の原則によって両面で預言されています。ヨハネの黙示録第1章7節を見れば、再臨するメシヤは、間違いなく雲に乗ってやって来ることが記述されています。しかし、テサロニケ人への第1の手紙第5章2節を見れば、「主の日は盗人が夜くるように来る」と預言されています。雲に乗って来るのに、盗人が夜くるように来ることができるでしょうか。今日のキリスト教徒たちは、雲に乗って来ることは信じ、盗人のように来ることは信じていません。ですから、私たちは、知恵深くなければなりません。旧約時代の実情から見て、主が雲に乗って来ることもあり、人として来ることもあることを私たちは知らなければならないのです。
ユダヤ民族が何よりも待ち望んだメシヤを神様が送ってくださったにもかかわらず、どうして彼らは、来られたメシヤを殺害してしまったのでしょうか。旧約聖書のマラキ書は、新約聖書の黙示録に該当します。マラキ書第4章5節以下を見れば、「見よ、主の大いなる恐るべき日が来る前に、わたしは預言者エリヤをあなたがたにつかわす。彼は父の心をその子供たちに向けさせ、子供たちの心をその父に向けさせる」と堅く預言されているという事実を私たちは知らなければなりません。
エリヤは、イエス様が来られる900年前の人であり、火の車に乗って昇天した人です。人々は、火の車に乗って行ったエリヤがそのままの姿で来ると信じていたところに、エリヤが来たという話もなく、突然イエス様がメシヤを宣布したのです。
すると人々がイエス様の弟子たちに、「あなたの先生がメシヤであるならば、エリヤはどこにいるのか」と質問するので、弟子たちがイエス様のところに来て尋ねる場面が、マタイによる福音書第17章10節から13節の内容です。「弟子たちはイエスにお尋ねして言った、『いったい、律法学者たちは、なぜ、エリヤが先に来るはずだと言っているのですか』。答えて言われた、『確かに、エリヤがきて、万事を元どおりに改めるであろう。しかし、あなたがたに言っておく。エリヤはすでにきたのだ。しかし人々は彼を認めず、自分かってに彼をあしらった。人の子もまた、そのように彼らから苦しみを受けることになろう』。そのとき、弟子たちは、イエスがバプテスマのヨハネのことを言われたのだと悟った」。するとユダヤ人たちの不信はより一層深まり、イエス様が洗礼ヨハネをエリヤだと言ったのは、自分がメシヤを装うためであると不信したのです。さらに、ユダヤ教とイスラエルの国を滅ぼす魁首だと言い、べルゼブルの頭だと決めつけてしまいました。このように、イスラエル民族が信じていた観点が、イエス様を送られた神様の摂理のみ旨とは異なっていたという事実を知らなければなりません。この地上に神様のみ旨を成し遂げるために、万民に神様から送られたメシヤは、ユダヤ教徒たちが従わなかったことによって、食い違いの事情を抱えたまま死んでいったという無念の歴史が、私たちの知らない中で起こっていたのです。
創造主神様の根本は真の愛
イエス様は、ユダヤ民族中心の救世主を待つ信仰の前に現れました。実際にイエス様を通した神様のみ旨は、ユダヤ教とイスラエルの国を越え、全世界を救おうとされるものでした。地で期待する希望と天で成し遂げようとするみ旨がずれてしまったのです。
再び来られる主の場合も同様です。2000年もかかって再臨主のために準備された基盤は、せいぜいキリスト教徒だけの救援を願うというのが精いっぱいの信仰基盤でした。しかし、再臨主は、神様が願われる世界と万民の救援、さらには創造本然の理想世界を成し遂げようとして来られるのです。その世界は、信じて救われるような宗教圏の世界ではありません。堕落とは無関係で、宗教が必要ない、宗教を卒業した真の愛と真の父母の世界を成し遂げようとして来られるのです。
創造主、神様の根本は真の愛です。真の愛は、与えて、また与えて記憶しない利他的愛です。この真の愛によって天国を成し遂げようとされる神様のみ旨のために、私は夫と共に生涯を投入して与えながら生きてきました。摂理の中心の3ヵ国である韓国、日本、アメリカは、平和理想世界を形成する模範にならなければならない位置にいるのです。
天道に従い、世界と全体のために生きて大きく与えるとき、無限なる神様の祝福による繁栄を成し遂げるでしょう。もし、自国の利益だけを追求すれば、摂理の中において中心の位相を守ることができず、もっているものも失うことになるでしょう。ユダヤ教とキリスト教の歴史的な実例まで挙げてお話しする、私の深い心を受け入れてくださることをお願しいいたします。
平和世界実現の決定的な条件
尊敬する指導者の皆様!神様の創造理想を地上と天上世界に成し遂げようと、真の愛を中心として、より大きいもののために投入して生きてきた私と夫の文鮮明総裁が力を注いできたいくつかのことをお話ししようと思います。
第1に、2002年5月21日、「ワシントン・タイムズ」創刊20周年を祝賀する祝賀宴を行うに当たり、なぜ「ワシントン・タイムズ」を創刊したのかということです。私たちは、これまでの20年間、途方もない財力を投入してきました。ここに何らかの政治的な目的は微塵もありません。神様の摂理の中心国家であるアメリカを正しく立て、救世救国の理念によって世界を指導する立場に立つことを願って創刊したのです。
アメリカが享受している政治、経済、軍事的な強国としての祝福は、アメリ力だけのためのものではありません。「唯一なる神様のもとの一つの国」という理想がアメリカ建国のスローガンであるとすれば、今からは、「唯一なる神様のもとの一つの天宙」を指向しなければなりません。
第2に、宗教間の対話と和合が、平和世界実現の決定的な条件だということです。信仰儀式や教理が異なっているとしても、善を指向する根本的な教えは一つです。さらに、宗教の出発は、霊的無知を打開するための神様の摂理の一環として、文化圏の背景に適合するように出発したのです。今からは、「家庭理想を通じた平和理想世界の実現」をモットーとして共に出会わなければなりません。
私たち夫婦が創設した「世界平和超宗教超国家連合」、超NGO(非政府組織)であるWANGO(世界NGO連合)運動、そしてアメリカで真の家庭運動を主導している「米国聖職者指導者会議」もその一環です。宗教間の対話と和合のために、去る40年間、統一教会自体で使う予算よりも多くを超教派超宗教運動に投入してきたのは、このような神様のみ旨を知っているからです。
第3に、人種間の葛藤を解消し、唯一なる神様のもとの一つの兄弟姉妹として、地球村大家族の世界を指向してきたことです。五色人種すベての人は、共に平等な神様の子女たちです。肌の色や歴史的な背景が優劣をもたらすことは微塵もありません。神様を中心とした祝福結婚を通して、超人種的に真の家庭の理想を実現することは、一つの世界を創建していく近道なのです。
これを看破した私たち夫婦は、1960年代以降、人種や国境、文化を超越して国際交叉祝福結婚を主導してきたのです。特に、日韓米3ヵ国の女性たちを世界の男性たちが配偶者として迎えたいと考えるケースが多くなります。世界がだんだんと近くなるに従って、国際祝福の貴い価値は、より一層輝くようになるでしょう。
この機会に、3ヵ国の根本的な関係を摂理観的側面から探ってみようと思います。人類歴史は、神様の救援摂理歴史であり、救援摂理とは、失ってしまったものを取り戻す復帰摂理です。したがって、エデンの園において堕落したアダムとエバと天使長との関係と、堕落した家庭の最初の結実であるカインとアベルとの関係が世界的に拡張されたものが、今日の韓国と日本、そしてアメリ力と世界の関係なのです。
6000年の全体歴史を総蕩減する終末において広がった国際関係も、摂理的な理解から探ってみなければなりません。日本は、伝統的に女性神である天照大神を信奉する国です。韓国は、摂理的にアダム国家であり、さらには父の国なので、その女性指導者たちは父の妹格となり、神様のみ旨のために共に思い悩み、精誠を尽くさなければなりません。
本来キリスト教は、来られる主の前に新婦の立場です。したがって、キリス卜教の代表国家であるアメリカの女性は、再臨摂理の前に娘の使命、妹の使命、新婦の使命を果たさなければなりません。
日本は、堕落したエバの立場を世界的に蕩減するために、今からは成熟した神側の母の国としての使命を果たさなければなりません。そのために日本が摂理的に歩んでいく道は、娘として、妻として、母として、女王として、世界の前に犠牲になってでも愛する、そのような道を行かなければなりません。
3ヵ国協同体の誕生を期待
さらに、日韓米の3ヵ国が中心となって平和世界を成し遂げていくためには、理想的な愛の一家族にならなければなりません。怨讐関係だった過去の恨みを洗い流して一つになる道は、韓国と日本、日本とアメリカの若者たちが互いに交叉結婚をすることです。互いが親戚関係を結び、血縁関係が成立すれば、真の愛の理念に基づいて平和世界を成し遂げていくモデルが生まれるようになるのです。
このように、神様の立体的なみ旨を知っている私たち夫婦は、以前から怨讐国家同士だった韓国と日本、さらに日本とアメリカの若者たちを一つに結ぶ国際交叉祝福結婚を主導してきたのです。
先ほどもお話ししましたが、アメリカは、第ニイスラエルの使命国家、さらには長子国家として、天の父母に侍ることにおいて先頭に立ち、世界の兄弟国家を助け、導いていく使命をもっています。ですから、アメリカの女性たちの使命は大きく貴いというのです。
私は、きょうのような貴いセミナーを通して、皆様が人類の未来に影響を与える、より大きく価値ある人生の道を求め、成し遂げられることを願います。この集いは、韓国の女性界を代表する各分野の指導者たちが、21世紀を導いていくべき指導理念を模索するための厳粛なる集いであることを知っています。
今後、このような集いを一層拡大し、日韓米3ヵ国の指導者たちが中心となって、21世紀を開く新たな基礎を固め、さらに3ヵ国間において、多様な分野で継続して議論し、協力し合いながら、相互連帯を強化させることができるよう、模範的な新しい3国協同体が誕生することを期待します。
紳士淑女の皆様。このような日韓米3ヵ国の協同体が土台となり、真の愛を中心とした新しい連合体の活動は、世界的な次元の平和と奉仕の文化をつくり出す真摯な目標を掲げて持続されるべきであり、そのすベての目標が達成されなければなりません。
このような活動が、各国の指導者の皆様と共に出発するだけにとどまらず、今後、皆様によってアジアと世界を糾合し、神様を中心とする平和の国を創建する集いに成長することを願います。皆様に神様の御加護が共にあることを願います。ありがとうございました。