平和経 第159話
神様の三つの悩みの種
罪の根源であるサタンの戦略は、真の家庭理想が実体化され、根を下ろすことができないように、常に破壊することです。これが過去五十年の間に、神様の三つの悩みの種にもなりました。第一は神様の存在自体を否定する共産主義であり、第二は不道徳と堕落であり、第三は教派と宗派間の分裂と葛藤です。
考えてみてください。どれほど多くの罪なき人々が、共産主義によって命を奪われたでしょうか。一億以上の人々が犠牲になり、また数億の人々が追放されて強制的に奴隷生活を強いられ、虐待と飢えに遭い、戦争で傷を負って、生涯を苦難の中で送らなければなりませんでした。それだけではなく、神様を否定する非真理を伝播することにより、人間が究極的な価値を見いだせないようにした罪科は、本当に大きいものがあります。
神様の二つ目の悩みの種である不道徳と堕落は、まるで押し寄せる荒波のように、家庭と国を破壊し、命を奪っていっています。道徳の崩壊は離婚と家庭破壊、青少年の淪落と未婚の母の問題、そして麻薬中毒などの悪の実を結びます。
これは特定の国の問題ではなく、世界共通の問題になりました。世界的に広がっていくエイズは、淫乱と乱雑な性生活の直接的結果です。日ごとに増えていくエイズをこのまま放置すれば、何百万、もしくは何千万の人命が失われていき、人類の存立を脅かすでしょう。
神様の三つ目の悩みの種であるキリスト教の教派間、または世界の宗派間の葛藤と分裂はどうでしょうか。神様にとって、宗教者は世界の良心でなければなりません。彼らは悪に打ち勝てる伝統と価値と実践力をもっていなければなりません。ところが、互いに反目し、分裂しながら争っているので、無能になって感化力を失い、悪に打ち勝って世の中を正しく指導する力を喪失したのです。以上の三つの根本問題は、五十年前に宗教指導者たちが神様の摂理に対して無知で、神様のメッセージを受け取れなかったことにより生じた結果です。
人間の責任分担の重要性
世界の高名な指導者の皆様。神様の見解では、過去五十年間、世界のすべての不幸と絶望と破壊が必然だったとは捉えません。避けることができたのです。もし一九四〇年代の後半に、キリスト教を中心とした宗教界が神様の啓示に従い、真の家庭の理想と一つになっていたならば、共産主義はいち早く衰退していたでしょう。また、各教団の影響力ある指導と模範を見せる実践生活により、青少年の退廃、家庭破壊、エイズなども世界的な問題にならなかったでしょう。
共産主義者は、私を中傷して謀略を巡らし、評判の悪い問題の人物に仕立て上げました。私にファシスト、または似非宗教者というレッテルを貼り、世界的に誹謗を浴びせました。アメリカでは脱税という捏造の罪をかぶせ、監獄にまで送りました。しかし私は、過去二十五年間、アメリカが摂理的な使命を悟れるよう、私のすべての精誠と魂を注いできました。西洋を中心に、世界に寄与した私の思想的な指導と立体的な活動を通して、アメリカが共産主義に打ち勝てるように助けることができたのです。今や共産主義は、ほぼ消えつつあります。
不道徳と淫乱、そして退廃の風潮は、享楽主義と共に家庭を組織的に破錠させています。一部の現代人は、「伝統的な家庭以外に、同性愛の人々もまた別の類型の家庭を築くことができ、彼らは養子や人工受精によって子女をもつことができる」と考えるまでに至っていると言います。
これは、長い歴史を通して人類が存続してきた人類の存立の霊的根本土台を破壊する、恐ろしい結果を生み出しています。皮肉なことに、科学者は絶滅する植物や動物の種類に対して嘆いていますが、根本が破綻する家庭については悟れずにいるようです。
今日、神様は私たちに質問されています。「人類は救いを得るまで、人類の三分の一ほどをエイズや戦争によって失わなければならないのだろうか」、「神様が本来計画したとおりに、人間が万物と調和して暮らすことを悟る前に、地球の自然資源と環境がすべて破壊されるのではないだろうか」と。
神様は、決して諦めたりはされません。どのようなことがあっても、神様は真の家庭理想を通して人類と世界を救い、回復されるでしょう。疑問なのは、どれほどの代価を払うかということです。人間の生命だけではなく、経済的な損失や環境の破壊まで含めた代価のことです。堕落と不道徳のゆえにもたらされた社会問題は、経済的な崩壊とともに、さらに悪い環境をもたらします。世界の指導者はこの点を深く反省してみる必要があります。
神様の希望は、人間の苦痛が終わり、真で平和な世界一家庭を形成することです。神様は、私たちが自ら責任分担を完遂することを願われます。もし、人類が神様のメッセージを受け入れ、また確信をもって行動すれば、神様の国はそれに比例して早く、喜びの中で成就できるでしょう。そのようにしなければ、神様と人類の苦痛は延長され、不必要な死亡と不幸が続くでしょう。
真の愛による祝福結婚
それでは、神様の悩みは、どのようにして解決されるのでしょうか。どのようにすれば、家庭が根本的に健全になれるのでしょうか。どのようにすれば、分裂した諸宗教が神様のもとで和解、協力できるのでしょうか。その答えは、国際祝福結婚式の中にあります。私と妻は、一九六〇年に三家庭を前にして主礼を行い、祝福結婚式を始めました。そのとき人々に、全世界の何千万双が神様の祝福を受けるようになると話せば、誰が信じたでしょうか。しかし、超国家、超人種、超宗教的に神様の祝福のもと、夫婦が純潔と貞節を守ることを誓約する三千九百六十万双の祝福式が、皆様の前で現実として進行されることになったのです。
尊敬する指導者の皆様。私はこの場で、過去五十年間の祝福歴史の中における困難だった事情を語ることはしません。ただ、祝福結婚式によってのみ、崩壊していく世界の家庭が根本的に安定し、その本然の役割を果たせることを重ねて強調します。各自が神様に侍る真の愛の人格を形成し、真の夫婦、真の父母になろうとする厳粛な誓約なくしては、真の家庭が回復されません。祝福結婚式によって創出された楽しく和合する家庭であってこそ、平和な社会と国家、そして世界をつくることができます。特に、国家と人種と宗教を超えて行われる祝福結婚それ自体が、世界平和の礎石になるのです。これが神様の願われることではないでしょうか。
今回の祝福結婚に、奇跡のように多くの家庭が同参するようになったのは、世界の志ある各教団の指導者の積極的な支援によるものです。そして、多くの国家指導者が、青少年の淪落と家庭破綻の問題は、この真の家庭運動によってのみ根本的に解決できるということに共感し、積極的に協力したので可能となったのです。私はこの場を通し、これらすべての支援者に、もう一度感謝申し上げます。
祝福結婚式は、人々、特に若者たちに真の愛の価値を自覚させ、絶対純潔の必要性を共感させる動機と媒介になるでしょう。この運動によって自覚した世界の善男善女が集まり、神様の祝福のもとで永遠の夫婦となる、真の愛の革命が起きなければなりません。このようにして築かれた新しい家庭が、神様のみ前に新たに誓約した既成祝福家庭の支援を受けながら、正しい倫理を実践し、世界に道徳の模範を見せることによって、真の愛が結実した理想的な家庭、社会、国家、世界を創建していかなければなりません。
祝福結婚式は、偽りの愛の因縁を清算して、絶対「性」を中心とした結婚の神聖な内容と価値の回復を目指します。真の夫婦の愛、真の父母の愛、真の子女の愛を回復するための儀式です。ですから、祝福結婚式に参席する当事者は、純潔と信頼を生命視し、不変の夫婦の愛を誓約します。その真の愛の基盤の上で、真の家庭をつくり、真の子女を養育し、生活の中で真の国家と平和世界の実現に献身することを誓うのです。
到来する未来の世界は、神様と人間と万物が調和する新しい心情文化、真の家庭による愛の文化の世界です。真の愛によって互いのために生きながら、和合、協力し、共に暮らす共生共栄共義の世界です。未来の歴史は、「人類一兄弟姉妹」を念願する若者たちが、人種を超越した真の愛によって、真の家庭と真の父母中心の真の家族理想で、「世界一家庭」の夢を実現する歴史でなければなりません。
尊敬する世界の指導者の皆様。祝福結婚は、神様が私たちに下さる最も貴い贈り物です。私たち夫婦は、皆様がこの歴史的な儀式に同参し、神様の祝福結婚を受けることを願っています。
これから「世界平和統一家庭連合」は、一層拍車を掛けて真の家庭運動を展開し、二〇〇一年まで三回にわたり、三億六千万双の祝福結婚式を挙行するでしょう。価値観の崩壊と倫理的な堕落によって、青少年が不倫に陥り、家庭が根こそぎ破錠しつつあります。
滅亡の道を転げ落ちる人類を危機から救うこと以上に、急がれる重要なことがどこにあるでしょうか。人類を救う根本的代案である真の家庭運動と祝福結婚式を世界化させ、普遍化させようとする私の活動は、尊敬を集めている皆様の積極的な後援を必要とします。国別に志のある指導者が結束し、真の家庭祝福結婚運動の支援部隊をつくって、国を救う運動をしなければなりません。人類を本然の姿に復帰するこの意味ある活動において、多くの指導者が主役となってくださるように、切にお願いします。そうして、万民が一日も早く真の家庭を築き、神様を中心とした地上、天上王権時代に入り、勝利と自由と平和と統一の世界で暮らせるように指導しなければなりません。
皆様と皆様の家庭、そして皆様の国に、神様の愛が満ちあふれることを祈りながら、これで終わりたいと思います。