平和経 第71話

神様のみ旨は創造理想の完成

宗教を信じる目的は、本来の神様と本然の国を取り戻すためです。宗教という言葉は、人間だけを中心とした言葉ではありません。神様を母体とした最高の教えが宗教です。神様と関係を結び、神意に従って生きる生き方を身につける過程があるのです。したがって、聖人は、天意に従わなければならず、天情を紹介しなければなりません。真の宗教は、神様について教えてあげなければなりません。真の宗教は、漠然とした神様を紹介するのではなく、神様に対する認識をはっきりと強固に植えつけてあげることができなければなりません。世の中と妥協する宗教は、高次的な宗教だと言うことはできません。そのような宗教は、結局は衰退してしまうようになります。真の宗教は、人が神様を正しく求め、神人が一体となる本然の世界に帰っていくことを教えなければなりません。宗教を信じるのは、罪のない世界、神様と本然の関係を結んだ理想世界を求めていくためです。

神様が求めていらっしゃるのは、宗教界ではなく理想世界です。宗教の目的は、宗教自体の教えを通した世界ではなく、神様の理想を通した世界です。ここにおいて問題となるのが創造理想です。神様が創造されたので、創造理想を明確にすることはとても重要なことです。

それでは、神様のみ旨とは何でしょうか。創造理想を完成することです。神様がエデンの園で人間始祖アダムとエバを通して成し遂げようとされた創造理想とはどのようなものだったのでしょうか。真の愛の本体であられる神様は、愛のパートナーを必要として創造をされました。人間は、神様の真の息子、娘としてつくられました。神様の真の愛の理想を成し遂げるためです。彼らは、真の男性と真の女性として成長し、真の夫婦となって真の家庭をつくり、理想的な国と世界を形成するのです。

別の言い方をすれば、神様の真の愛を中心として、理想的な家庭、さらには理想的な世界を完成するのです。しかし、人間始祖の堕落によって、この創造理想は崩れてしまいました。したがって、宗教の目的とは、一人の真の人を取り戻すことであり、真の家庭と真の国家と真の世界を取り戻して、万民が平和に生きていくことです。これが正しく、神様が地に対して摂理される目的なのです。

宗教は、このように善の世界を追求してきました。しかし、その善の世界は、善の国が現れなければ成し遂げることができません。善の国は善の民族が、また善の民族は善の氏族が、そして善の氏族は善の家庭が先になければなりません。ですから、善の家庭を築こうとすれば、先に善の男性と善の女性がいなければなりません。アダムの堕落以後、イエス様の時までの四千年間、イスラエルの歴史は、外的には、世界を取り戻す歴史でしたが、内的には、真の息子、アダム一人を取り戻す歴史でした。堕落によって、神様の愛を中心とした生命と血統を受け継いだ息子、娘がいないことが神様の恨です。

愛と生命と血統の主人

神様が、愛と生命と血統の主人として再び造られ、この世の中に送られるお方が救世主です。観点によって、救世主、メシヤ、再臨主、真の父母と様々に表現されることもあります。この世のすべての人々を貧困と苦痛、戦争と罪悪から救ってくださるという観点では救世主として、また絶対者の救援のみ旨を中心として、すべての宗教人を生命の道に連結させる仲保者という観点ではメシヤとして、また第一イスラエル、第二イスラエルと続いてきた神様の主流復帰摂理という観点からは再臨主と呼ばれてきました。救世主、メシヤ、再臨主、これらの名称は、主に救援と復帰過程に焦点を合わせて呼ばれてきたものです。

偽りの父母、偽りの先祖と因縁を結んで生まれ、罪悪と葛藤の中で生きてきた堕落人間は、堕落直前の段階にまで復帰されることによって、すべての所願を成し遂げることができるのではありません。

神様のみ旨も、人間の本性の所願も、創造理想を完成した本然の理想的な人間となり、理想世界を成し遂げることです。それは、神様の愛の理想を完成した個人として生まれ変わったのち、真の愛の夫婦となって真の父母になることです。

そのために、神様の真の愛、真の生命、真の血統の始原である真の父母が絶対的に求められるのです。このように、神様の救援摂理完成のためには、男性として一人で現れる救世主、メシヤ、再臨主ではなく、神様の真の愛を完成した典型としての真の父母のお二人をお迎えしなければならないのです。

神様が、先に造られたアダムのあばら骨で、その永遠の相対であるエバを造られたように、神様の息子、復帰されたアダムが先に来てエバを復帰、再創造することによって、真の愛の理想を実現し、真の父母の位置を完成しなければならないのです。人間の真の愛と真の生命の源流がその中にあり、理想的な男性像、女性像の標本がその中にあり、理想的な真の夫婦と真の父母の標本が、その真の父母様の中にすべてあるのです。

人類の罪悪と苦難が、堕落した先祖の偽りの愛によって実を結んだ偽りの父母、偽りの先祖に由来しています。したがって、堕落の因縁から解放され、理想を完成することは、来られる真の父母様を通してのみ可能です。人類が宗教を通して求めてきたものも、世界が待ち望んでいるものも、神様の愛の理想を完成する真の父母です。

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Luke Higuchi