302.韓鶴子総裁御言選集3 天一国と私たちの使命

第3巻 第2回

第1部  平和世界に向かう道

2. 恒久的な平和世界の構築

*このみ言は、2014年8月10日、韓国ソウルのヒルトン・ホテルで開催された「ワールドサミット2014」で宣布されたもので、文善進世界会長が代読した。

尊敬する世界各国の指導者、著名な宗教指導者、平和大使、各国代表、そして内外の貴賓の皆様!天宙平和連合(UPF)が主催し、世界平和統一家庭連合と世界平和女性連合(WFWP)、ワシントン・タイムズ財団、そして世界日報(韓国)が共同後援するこの重要な「ワールドサミット2014」に出席してくださった皆様に感謝の言葉を申し上げます。

私たちが活動を始めた頃

きょう、私たちは、2年前に霊界へ旅立った私の愛する夫であり、全人類の真の父であられる文鮮明総裁の遺産とその生涯を称えるためにこの場に集まりました。文鮮明総裁の聖和2周年を迎えて、私は、過去数十年間進めてきた摂理の活動と、これを導いてこられた真のお父様に敬意を表すると同時に、神様の摂理完成に向けての道を開拓するために、「ワールドサミット」をはじめ、広範囲にわたるプログラムの開催を指示しました。全歴史の希望であり、神様の希望であるこの目標を達成するため、私たちと共に力を合わせることを願います。

1960年、私たち夫婦はここから遠くない場所にある素朴な家で聖婚式を執り行い、命の尽きる日まで世界平和と人類の繁栄のために昼夜、働くことを、天の父母様であられる神様の前に誓いました。私はその日をまるで昨日のことのように鮮やかに覚えています。私たち夫婦は、神聖な使命を完遂しようとする天の摂理によって結ばれました。結婚生活を始めた私たちは、大きな希望とともに重大な責任を感じました。

神様は人類歴史上の出来事や成果をお独りでは主管なさいませんでした。むしろみ旨を理解して従う個人を探して育てようとされました。神様は摂理の過程において、それぞれの個人、特に中心人物が自らの責任を果たすことを願われました。その召命に応じた者は、その道があまりに険しく危険であり、苦痛を感じるほどに大変な道であるという事実を悟るようになります。

真のお父様と私は、私たちが直面した道に対して、無邪気に、無知な状態で立ち向かったのではありませんでした。一方で、私たち夫婦は最も親密で強力な天の父母様(神様)の愛と導きと保護を直接体験しました。そのような経験は私たちの絶対的な信仰、責任、決意を鼓舞してくれました。しかし、もう一方では論理的な説明を徹底的に無視する、反対と妨害を受けることもありました。善と悪の勢力が、いつも手の届くような近くにあったのです。

韓国はそれ自体が一つの戦場です。植民統治の屈辱と戦争の恐怖をこの韓半島で直接経験しただけでなく、いまだに分断国家のままです。独裁的な共産政権が、38度線の北側を掌握すると、故郷を捨てるように強要され、大切に守ってきた故郷で家族、友人、知人たちと共に生きることができなくなりました。

私たちが活動を始めた頃の韓国は、破壊的な戦争の余波から少しずつ抜け出していましたが、国民は依然、数十万人の無辜の命を奪っていった悲劇の歴史を嘆いていました。当時の韓国は、世界から「隠者王国」と呼ばれてきた旧習を重んずる閉鎖的な国であり、小さくて貧しい国でした。そのときの統一教会の本部教会は、一部屋ほどの大きさにすぎませんでした。従ってくる食口もごく少数であり、貧しかったのです。それだけでなく、既存の政治と宗教の勢力から、数多くの迫害を受け、根拠のない誹謗と偏見に包まれました。しかし、神様の恩賜で私たちの教会は成長に成長を重ねたのです。

私たちの活動を導き支えてくれた理想

今日、世界的に尊敬を受け、そのビジョンと原則を地球村の至る所に伝播した運動組織が、このような戦争の灰の山と悲惨な貧困、不当な迫害を乗り越えて出てくることを誰が想像できたでしょうか。神様は強力で不思議な方法で役事されます。

多くの苦難の歳月の間、変わらず私たちの活動を導き支えてくれた本質的な理想は、正に、神様は私たちの真正なる父母であられ、私たちは皆、唯一なる神様の息子、娘であるという事実、すなわち「神のもとの人類一家族」でした。私たちのすべての努力と、これまでに設立された数多くの平和団体は、完全にそのようなビジョンを達成するためのものでした。そして、そのビジョンは神様の恩寵と多くの食口の血と汗と涙の土台の上に、今、岐路に立っているように見える世の中で、希望の花のように咲き始めています。

たとえ今日の世界があたかも “暗黒時代” に入っていくように見えても、私たちが神様の召命に応じるならば、私たちは平和の新時代に向かう道に立つようになるでしょう。今回の「ワールドサミット」(参加)はそれ自体、神様の召命に応じるものです。

気候変動と貧困の問題から地政学的不安、テロリズム、宗教間の葛藤に至るまで、また、家庭崩壊や犯罪から倫理的、精神的な混乱に至るまで、この世界は多くの難題に直面しています。皆様もまた、南米と北米、アフリカ、アジア、ヨーロッパ、中東、オセアニアなど、自分の国と地域で、明らかにこのような困難に直面していることと思います。これらの問題は、政府だけの力では解決できません。

なぜならば、その根本原因が、本質的に、政治的、または経済的次元にだけに限られたものではないためです。むしろ、その根は、神様との関係が断絶し、人間の心の深い所に利己心が居座っているところにあります。

紳士淑女の皆様!国家の世界のために私たちは心を開いて天の父母であられる神様の導きに従わなければなりません。

尊敬する指導者の皆様、神様のみ旨に従って、私たち夫婦は、世界的変化の基盤をつくり、霊的、道徳的覚醒を遂げるために、自らと家庭をささげて半世紀を超える歳月を送りました。霊的、道徳的原則は、(すべての存在は)それ自体のために存在するのではなく、この世の中に生の基礎を形成するために存在します。すなわちこの神聖な原則は、ただ宗教だけでなく、政府、貿易通商、教育、学問、言論、文化、芸術、そして最も重要な家庭生活全般にわたるすベての領域に適用されます。

家庭連合創設と超宗教・超国家的活動

尊敬する指導者の皆様!私たち夫婦が築いた実体的な基盤は、魔法のように、あるいは運良く成し遂げられたのではありません。完全な献身と不断の努力の中で神様の摂理と一致し、一般大衆から文化、宗教、経済、政治権力の中心に至るまでのすベての領域に絶え間なく投入してきた結果です。次に述べるのは、私たちがこのような原則を適用してきた分野です。

家庭:神様は、愛の学校として家庭をつくられました。神様の創造原理に従えば、家庭は、人間のすべての制度圏の中でも、最も基本的で必須の場所です。家庭がなくては、人類は一つの種として生存できません。家庭が失敗すれば、社会、国家、世界も失敗します。神様を中心として結婚し、家庭の安寧を回復することで、世の中を回復させることができるのです。

私たち夫婦は祝福結婚を通じて、このような目標を成し遂げるために努力してきました。皆様も御存じのように、全世界の数百万組が祝福式に参加し、神様を中心とする理想家庭をつくることによって世界平和を実現するという責任感をもって、結婚の誓約をしました。私たちは、若者たちに国家や宗教、人種を超越した結婚を考慮するように奨励しました。そのような家庭を通して和解を増進させ、一つの世界をつくるために貢献することができます。

統一教会の発展の結果として、1996年、ワシントンD.C.で、神様のみ旨に従って世界平和統一家庭連合を創設しました。調和のとれ、繁栄した世界をつくるための基盤として、神様を中心とした健全で安定した家庭を養成して強化することに専念する、世界的運動の機関をつくったのです。創設大会に、米国のジョージ・H・W・ブッシュ元大統領とジェラルド・フォード元大統領、エドワード・ヒース元英国首相が参加した家庭連合は、以来、194ヵ国で活発にそのビジョンを促進し、拡大してきました。

超宗教的協力:世界70億の人口のうち、3分の2以上が宗教をもっています。歴史上の偉大な文明は、宗教と霊的な基盤によって支えられました。

宗教は、常に私たちの存在の根本となるより深い実在を考察し、私たちの目と心が天に向くように導き、天からこの地上に送られたかたの言葉に、耳を傾けるように教えてきました。

しかし、神様がこのように直接的な介入をされる間にも、宗教と宗教家はたびたび真実の道から外れました。それによって今日(私たちは)偏狭な宗派主義と急進主義、偏見など、宗教の暗い面を目撃しているのです。このような逸脱は宗教家たちを深刻な不和と紛争へと導きました。このような現実は天のみ旨を阻害するだけでなく、神様の心情を引き裂き、悲しませています。このため、すべての宗教指導者と信徒が相互尊重と協力の中で和解できるように導く、運動組織の存在が必要なのです。

半世紀を過ぎても、私たちは教会を建てることよりも、普遍的で超宗教的な対話に、より多くを投入してきました。それほど重要だからです。中東、特に聖地での私たちの努力は、MEPIすなわち中東平和イニシアティブ(Middle East Peace Initiative)を通してUPFが主導してきました。その始まりは、私の夫である文鮮明総裁がそこ(イスラエル)を訪れた1965年にさかのぼります。当時、真のお父様は(エルサレムの)ゲッセマネの園の近くにある聖地で、ユダヤ教、キリスト教、イスラーム(イスラム教)間の和解のために熱心に祈りました。真のお父様は神様とイエス様、モーセ、ムハンマドに涙で訴えたのです。

その日以後、宗教間、さらには各宗教内で分裂した多様な分派間の和合と協力を増進させるための重大な投資を、一度も欠かさず毎年、行ってきました。2000年、私たち夫婦は国連で、国連の傘下に超宗教委員会を設置することを提案する講演をしました。この委員会は、霊的、道徳的な「上院」としての役割を果たし、国連の役割を補完するでしょう。超宗教委員会のメンバーは、宗派または党派的利益を超越し、一国や一宗教ではなく、一つの家族として全人類の利益を主張するようになるでしょう。

その翌年の2001年9月11日に、世界貿易センタービルと米国防総省がテロ攻撃を受けたとき、私たちは(攻撃があった4週間後に) ニューヨーク市で暴力拡散阻止のための主要な超宗教・超国家会議を招集しました。そして、イスラーム指導者との協議のもと、平和促進のための「イスラーム・サミット」を相次いで開催することを計画しました。そして、その後、十数年間、宗教間の不和と紛争の可能性がある複数の地域で、同じような取り組みを実施してきたのです。

グッド・ガバナンスと国家間の協力:宗教間の敵対的な関係と内部腐敗が、恒久的な平和を阻害するのと同様に、それは国家間の関係にも当てはまります。25年前に冷戦が終息したとき、人類はすぐに平和の新千年紀が到来するかもしれないと思いました。しかし、まだ今日も多くの障害が残っていることが分かります。中東は今、戦火が絶えません。ウクライナの危機は、国際秩序の安定を害しています。東アジアは、軍国主義の鼓舞、島をめぐる複雑な領土紛争、そして北朝鮮の核兵器開発などの継続的な脅威にさらされています。

私たちは、UPFやWFWP、その他の組織のプログラムを通して、「ハードパワー」による侵略と葛藤の代わりに「ソフトパワー」による政治を提示し、紛争の解決策を模索するために積極的に努力してきました。例えば過去数年間、私たちは北東アジアの平和促進を目標にした一連のプログラムを進めてきました。

それがMEPIに相応する活動である北東アジア・イニシアティブ(Northeast Asia Peace Initiative: NEAPI)です。NEAPIは、韓国をはじめ日本、アメリカ、そして最近ではロシアのウラジオストクで継続的に開催されました。これからは中国、モンゴル、北朝鮮でもこのような活動を拡大するつもりです。対話を通じて相互尊重と信頼を重ね、協力を阻む障壁を崩すことができます。

共産主義反対運動とアメリカを覚醒させた運動

冷戦時代には、私たちは、暴力的革命を擁護し、自由を制限して無神論を信奉する共産主義の理念に立ち向かいました。勝共運動は、宗教の自由、制限された政府、法治主義、市場開放に対する確信に基づいています。このような理想は、1980年に創設されたCAUSAという団体を通して現われました。また、1985年にはジュネーブで、世界平和教授アカデミーの主催で主要な国際会議を開催し、ソ連の崩壊が近いことを訴え、その後の世界に備える必要性について議論しました。

私たちは、決して対話の扉を閉じませんでした。ソ連と北朝鮮の首脳との出会いのためにあらゆる努力を傾けました。1990年、ゴルバチョフ大統領とライサ夫人の支持と参加により、モスクワで言論人会議、頂上会談を行いました。ロシアが共産主義から民主主義へ円滑に移行するのに必要なすべてのことに最善を尽くし、寄与しました。グッドガバナンスと青少年の人格教育、市民社会の強化、そして宗教の自由を強調しました。

そして翌91年、私たち夫婦は、北朝鮮を訪問し、現在の金正恩・国防委員長の祖父である金日成主席に会いました。北朝鮮の政策に対する反感、また夫(真のお父様)の暗殺を企てた国にもかかわらず、私たちは金日成主席を抱擁し、対話の門を開けただけでなく、経済協力、スポーツ、芸術、観光、人道主義的救援などの民間交流のために、国境を開放することを促進させました。南北の平和統一に必要な信頼構築と緊張緩和のために、北朝鮮に莫大な資源を投入したのです。

過去数十年間、アメリカ大陸、特に米国にも多くの投資をしました。米国への愛は、民族主義や、米国の抱える問題に無知であったからではなく、世界の中で米国が占める特別な地位と責任を理解しているところから来ました。自由世界のリーダーとして、米国は宗教の自由、人権、民主統治、法治主義の理想を代表しています。世界中の多くの国が米国の独立宣言文と憲法を畏敬して模倣しました。米国は神様の祝福を受けて神聖な使命を与えられました。

そのような祝福には重大な責任が伴います。真の愛を中心とした恒久平和の世界を構築するために、他の国を助け、その祝福を分け与えるという使命と責任です。しかし不幸にも、1960年代に入り、多くのアメリカ人がこのような責任を忘れ始めました。薬物乱用と乱れた性関係、個人主義と物質主義が蔓延するようになり、霊的、道徳的崩壊が起こり始めたのです。

1971年に米国に到着してから、私たち夫婦は、霊的・道徳的刷新を力説する大衆運動を通じて、大覚醒を呼び起こすために努力しました。真のお父様はいつも、「『医者や消防士の役割』を果たさせるために、神様が私たちを呼ばれた」と語られました。米国を治療して、利己主義と腐敗の炎を消すために召命されたのでした。米国は道に迷い、建国当時普遍化していた神様を中心とする精神を、取り戻す必要がありました。それ以降、私たちはアイゼンハワー、ニクソン、レーガン、ブッシュの各大統領と数百人の米議会議員、そして多様な宗教、人種、文化的背景を持つ数百万人の一般アメリカ人に、このようなメッセージを伝えました。

万物を愛させ、守らせるために人間を創造

2008年4月、私たちは、UPFの後援を受けて、「アメリカ大陸の発展と平和のためのリーダーシップとグッドガバナンスの新しいパラダイムに向けて」というテーマで、ワシントンD.C.で「アメリカ大陸サミット」を開催しました。ジョージ・H・W・ブッシュ元米大統領とフリオ・マリア・サンギネッティ元ウルグアイ大統領が、この会談の成功に大きく寄与してくれました。私たち夫婦は、二人の元大統領に南北アメリカの和合のために働いてくださるように伝え、励ましました。

また、ブラジル・ジャルジンに「世界平和理想家庭教育本部」を設立して全世界から共同体理想を実現する担い手を呼び集めました。「新しい希望農場」を造成し、共に生活し、土地を耕し、交流生活をしながら世界各地から集まった人々と一緒に学ばせました。環境との調和の中でモデル的理想共同体をつくる運動を始めたのです。

パンタナール地域では、パラグアイ川流域のプエルト・レダを中心に、自然の中で共同生活をして働く国際ボランティアたちと一緒に、理想の村を造成するプロジェクトを進めました。世界中の人のための資源開発というビジョンのもと、農場を設立し、魚の養殖事業にも着手しました。今後は、公海で漁獲できる魚だけでは供給が不十分になるからです。2013年5月に初めてパクーの養殖に成功すると、パラグアイのフェデリコ・フランコ大統領(当時)をはじめとする政府関係者がレダを訪問して感謝の意を表しました。その他にも、過去40年間、アラスカ・コディアックから南極大陸に至るまで、また韓国・麗水からマサチューセッツ州グロスターに至るまで、数多くの海洋、水産、造船事業が推進されました。

環境のための適切な責務と保護は絶対に必要です。気候変動、海面上昇、森林破壊、砂漠化、きれいな水の供給不足、栄養不足、そして食糧費の高騰などに対して、私たちは即時に注意を傾けなければなりません。神様が、地球、祝福された万物を愛し、守るように人間を創造されたことを覚えておかなければならないのです。

超国家的平和と超宗教的平和は緊密に結びついている

超宗教・超国家的協力、「アベルUN」に向けて:韓国の人々は国連に対して強い尊敬の思いをもっています。もちろん、潘基文・国連事務総長が韓国人だという事実を大変誇らしく思っていますが、より重要な理由は、朝鮮戦争当時、国連が韓国を救うために介入したという歴史的事実があるからです。

真のお父様も、1950年、北朝鮮の興南監獄で死刑執行の直前に、国連軍によって解放されました。夫と私は、何度か国連で演説をしました。栄光の中でスピーチする場でしたが、国連を新たに変える必要性を感じることができました。国連に超宗教委員会を設置することを提案したことは先に言及しました。これを念頭に置いて、私たちは「アベルUN」という概念をつくりました。

御存じのように、アベルは聖書に出てくる人物で、兄カインとは異なり、天の前に謙虚で信仰的であり、神様に対してこの上ない孝心をもっていました。しかし、神様への愛にもかかわらず、アベルは、怒りと嫉妬で我を失ったカインに殺害されました。このようなカインとアベルの力関係は、歴史を通して、個人だけでなく制度、理念、国家的次元で明白に現れました。「カイン類型」の人もいれば、「アベル類型」により近い人もいます。夫と私は、神様を中心に正直と善意を守る「アベル類型」とその遺産を支持してきました。

このような経緯で「アベルUN」、すなわち、国家的利益を超越した最高の霊的・道徳的原則を支持するために邁進する国連の必要性を強調してきたのです。「アベルUN」は、加盟国が自ら神様を中心とした原則主義の国家に変わるときにのみ樹立することができます。そして、「アベル国家」は、一国の国民と文化、制度が、神様のみ旨と普遍的原則に従って変わるときにつくることができます。私たちは、このような目的をもってUPFを創設しました。

この目標を達成するために、政府と宗教の両者においてグッドガバナンスが実践されなければなりません。超国家的平和と超宗教的平和は相互に緊密に連結されているからです。

女権伸張と言論活動、国際ハイウェイ・プロジェクト

女性時代:女性もまた、神様の摂理において中心的な役割を担っています。妻、母、姉妹、娘としての役割だけでなく、すべての分野で男性と同等の役割を果たしています。

1992年、神様を中心とした家庭と平和世界創建のために献身する、世界的な女性のネットワークを形成するという趣旨で、WFWPが創設されました。真のお父様が霊界に行かれる直前に、WFWPの基盤の上に「アベル女性UN」として、世界女性平和ネットワークを発足させました。WFWPは、全世界に支部を置いており、劣悪な地域に学校や孤児院を設立するなど、広範な人道主義イニシアティブを開発することに積極的に参加しています。

人類歴史において、事実上すベての社会で女性は差別と虐待を受けました。しかしここ数十年間は、全世界的に男女共に、このような不幸な歴史を終結させ、歴史の新しい章を開くために努力してきました。次第に多くの人が、女性たちがより良い教育を受けるために平等な機会を与えられ、社会各界で責任を果たしてこそ、この世界が発展することを悟ってきています。歴史的にも、女性が排除されたり、抑圧されたりするところでは社会、政治、経済、さらには精神的発展さえも不振だったことを確認することができます。

責任ある言論:私たち夫婦は、平和に対するビジョンを固守し、1982年にワシントン・タイムズを創刊しました。以来30年以上、ワシントン・タイムズは、言論としての最高基準を守り、宗教、家庭、自由、奉仕の普遍的価値を支持してきました。ロナルド・レーガン元(米国)大統領やマーガレット・サッチャー元(英国)首相のような世界的な指導者に認められて、冷戦の終息をもたらす一助となりました。そして今なお真実で責任あるジャーナリズムを代表し、先頭を切る役割を果たしています。

1996年に同じビジョンをもって、アルゼンチンのブエノスアイレスで(スペイン語紙)ティエンポス・デル・ムンド(Tiempos del Mundo)を創刊し、それ以降、南アメリカおよび中央アメリカ全域に16ヵ国の言論機関を設立しました。韓国にはセゲイルボ(世界日報、1989年創刊)があり、日本では世界日報を創刊(1975年)しました。これらの言論社は、宗教、家庭、自由、奉仕の価値を支持し、専門ジャーナリズムの最高基準を確立するために努力しています。

国際トンネルおよびハイウェイ・プロジェクト:平和で繁栄する世界をつくるための重要な努力の一つが、通商と貿易です。私たちは1981年から、全世界を一つに結ぶ国際ハイウェイ、鉄道、トンネルのシステム開発などを提案してきました。韓国と日本をつなぐトンネル建設のために努めており、北米とロシアを連結するベーリング海峡を横切る鉄道およびトンネルシステムを提案しました。

通商と貿易は、多様な文化文明の人々が互いに関係を結ぶ平和の手段になりました。歴史上の「シルクロード」のような国際ハイウェイやトンネルのプロジェクトは、アルゼンチンの最南端から南アフリカのケープタウンまで、モスクワからニューヨークまで、橋梁とトンネルを通して通商を可能にすることでしょう。

私たちの活動は中断なく続く

最も困難な時期を経験する間にも、私たち夫婦は休むことなく努力しました。あらゆる機会を捉えて、神様のメッセージを世界に伝えました。時には、人生すべてを飛行機の中や舞台の上で過ごしているように思われることもありました。地球上のほぼすベての国を訪問して神様のみ言を伝えました。真のお父様が、喉がかれるまでみ言を語る姿を目撃したのも、数限りなくありました。南アメリカや中央アジアの山岳地帯でみ言を語られるときには、酸素ボンベを横に置いて、救急車を待機させておかなければなりませんでした。

真のお父様は一度もゆったりと休んだことがありません。ある日(地球の)東側にいるかと思えば、その翌日には西側にいました。多くの人々にとっては、夫が成した数多くの仕事のうちで、たとえその一つでも、満足に行うのは難しいでしょう。真のお父様は、むくんだ足で具合の悪い老躯を支え、乾いた唇で神様に感謝の祈りをささげました。そして今、日増しに、理想家庭を通した平和世界のビジョンが形を整えていく驚くべき現象を目撃することができます。

2005年、UPFを創設して以後、真のお父様は生命の脅威さえ意に介さず、1日1ヵ国を訪問する120ヵ国世界巡回を通して、平和のビジョンを伝播しました。その翌年の2006年まで、子供たちと、孫・孫娘も共に、世界の多くの国で講演をしました。

人類の真の父母として歩んでいく摂理路程は、あたかも荒々しい暴風雨の中で航海するような長くてつらい道でした。しかし、私たちに近づく苦難にもかかわらず、難しい障害は克服され、私たちのビジョンを拡大していく数多くの実質的な活動が全世界に影響を及ぼしています。世界的な平和基盤は今、日々、より強固になって拡大しています。

真のお父様が霊界に行かれた以後も、私たちの活動は中断なく続いています。実際には、より一層激しくなりました。最も重要な成果の一つは、二人が一つになる国、すなわち天一国という世界的な運動に法治の基盤を提供する憲法を制定したことでした。真のお父様は常に天一国と憲法の必要性について言及されました。真のお父様が霊界に行く前に指示された天一国憲法(教会法)の制定作業は、今年(2014年)完成し、去る基元節(一周年。2014年2月)に天の前に奉呈しました。神様と真の父母様を中心としたこの憲法に従い、天一国最高委員会と天一国5権機関が樹立されます。

最近私は、真のお父様と共に講演のために何回か訪れたことのある、スイスを訪問しました。スイス・アルプス山脈の12の最高峰に登り、祈りと回顧瞑想をしながら、真のお父様と霊的に近づく時間をもちました。私は毎日、夫を身近に感じることができました。

愛する「ワールドサミット」参加者の皆様、真のお父様と私は、神様の導きに従う人生を生きてきました。真の父母の心情で全人類を包容しなさいという神様の命を奉じて、神様の解放と人類救援、平和世界実現のためにすベてを投入しました。その道で数多くの苦難や試練を体験したりもしましたが、天の使命を遂行することを中断しませんでした。

「神様のもとの人類一家族」の理想を実現する、平和と繁栄の「一つになった世界」をつくるこの偉大な使命を、共に果たしていくことができるように願います。太初に神様が計画されたように、自身の国を新しく変化させて、恒久的平和世界を構築するために、できる最善の努力を尽くしてくださいますようにお願いします。そのような世界は宗教、人種、民族、国家の境界を超越します。神様の理想世界は国境のない自由、平和、統一、幸福の世界です。

今回の「ワールドサミット」が、全世界の万民のための重要な転換点になることを祈ります。来年開催される「ワールドサミット2015」では、私たち夫婦が神様のみ旨に従って支持してきた平和の原則を最もよく実践した個人や団体に鮮鶴平和賞を授与しようと思います。これに対する皆様の積極的な参加と推薦を期待します。

皆様全員が、「新しい天宙平和世界の創建」というこの時代の挑戦課題を、受け止めてくださるように願います。皆で一致団結して「神様のもとの人類一家族」をつくりましょう。皆様、個人と家庭、国家に神様の祝福が共にあることを祈願いたします。

誠にありがとうございました。

Luke Higuchi